オランダの工業デザイナーTino G. du Long氏は、“物事を動かしていきたい”と文字通りに考えています。特に、キッチンを動かしたいというアイデアを温めてきました。
ユーザーが使いやすい位置に食器棚が降りてきて、必要に応じて天板が上昇できるようにする。これは宣伝文句ではありません。体の不自由な方達など、そのような機能が必要な場合もあります。
一部のユーザーにとっては、このような機能により、かつてはできなかったキッチンの利用が可能になります。また、キッチンの作業面を自分にあった高さに持ってくることができ、最適な作業姿勢を保つことができるため、多くの健常者もキッチン設備の高さを調節できることを便利だと感じるでしょう。
Tino G. du Long氏は、ボタン1つの操作で高さを調節できるキッチンにより、オランダのキッチンに変革をもたらそうと考えています。LINAKテクノロジーなら、実現可能です。
当初du Long氏は、体の不自由な方のためのキッチンにのみこのソリューションを適用しようと考えていました。その後、この技術はあらゆるキッチンで理に適っていると結論づけました。
より柔軟なキッチンで未来を思い描く
du Long氏のアイデアに賛同したのがTulp Kitchens社のMarcel Blaauwbroek氏でした。オランダのキッチンメーカーTulp Kitchens社は、年間4,000セットのキッチンを製造しています。
Tulp社は健常者向けの昇降キッチンをパートナー企業と販売していこうと考えています。
「適切なマーケティング活動と価値に見合った価格を設定することにより、今後10年で、全てのキッチンの15~20%が昇降キッチンとなると予測しています」とBlaauwbroek氏は言います。「当社のショールームを訪れたお客様はこの技術に驚かれることでしょう」
Tulp社は、同社のプロトタイプ第1号を既に完成しています。
LINAKが動きを可能にする
Tino G. du Long氏のデザインは考え抜かれており、実にシンプルなものです。LINAKの電動アクチュエータを使い、フレーム構造を昇降させます。全体的に柔軟な構造になっており、それぞれのニーズに合わせて高さや幅が変えられるようになっています。コーナーピースも従来のキッチンやアイランドキッチン同様調節可能です。
「LINAKは私にとって理想的なパートナーです。市場についてじっくりと調査をしたので、確信を持ってそう言えます」と、du Long氏。du Long氏は、この作業をこなすパワーがあるだけではなく、信頼でき、最も重要な点として、完璧に平行にコンポーネントを動かすことができるアクチュエータを探していました。
「LINAKは電動昇降装置や電動アクチュエータの単なるメーカーではありません。これらの装置が必要とするコントロールボックスも製造しています。そのため、コントロールボックス、コントローラー、昇降装置の全てを1社から調達できます。このようにシステムを一式提供できるため、卓越した信頼性を実現しています」と、LINAK BeneluxのGert-Jan van Veen アカウントマネージャーは説明します。彼は、LINAKはこのようなシステムを提供することこそ、完璧な同期運転などの要件を素晴らしく満たすことができる理由だと感じています。
Tino du Long氏はLINAK電動アクチュエータLA31をデザインに組み込みました。動作音が静かなのにパワフルなこのアクチュエータは、元々、インダストリアルワークステーションやキッチン天板を昇降させるために開発されました。推力3500 Nのパワーで牽引します。
LA31はステンレス鋼製のため頑丈で、摩耗や腐食に強く、長い製品寿命でお使いいただけます。また、ノイズレベルは48 dB(A)で、極めて静かに動作します。さらに、挟み込み防止用安全スイッチが搭載されており、機械に物の一部が衝突したり、巻き込まれたりするのを防ぎます。
テーブルストリップの下限周辺に減衰ラバーコーティングケーブルを施しています。このストリップに圧力がかかると電気回路が「閉」状態になり、モーターが信号を受信し、機械を少しだけ逆走させます。このメカニズムが高い安全性を保証しています。
パイプライン
オランダ政府はdu Long氏のアイデアの可能性と社会的重要性を認識し、また、別の大手キッチンメーカーもdu Long氏の開発ジャーニーに提携したいと名乗りを上げています。